


内閣府はTPP参加で2~3兆円の経済効果があると予測。逆に農水省は参加すれば農業や関連産業のGDPが8兆円近く減ると試算。一方、経済産業省は「TPPに参加すると」じゃなくて、参加しないと輸出産業に10兆円以上の損失があると言っています。
みんなバラバラ。ホントのところ、どうなんですか?
いずれの試算にも問題がありそうですね。
内閣府の試算は輸入が増えても国産品は影響を受けないという前提、つまり良いことだけを計算していますし、経済産業省は今後の各国FTA締結予想状況が日本に非常に不利なものになると想定しています。
農水省はTPP参加による損失を予想していますが、限られた主要品目でしか試算していないので過少評価かもしれません。



東日本大震災で農業だけでなくあらゆる産業が大きな被害を受けました。TPPで輸出が増えれば、復興の追い風にもなるという人もいるわ。
でも、回復からはほど遠い農地を見ると、こんな時にTPPに参加して復興が難しくなるのではと心配です。
農業の活性化や再生を語る以前に、被災地では農地の原状回復すら困難な現実があります。 また、東北地方のメーカーが被災したため、世界各地の工場の生産がダウンし、それらの企業の重要性が証明されましたが、それだけに震災をチャンスととらえた海外の競合メーカーも多かったことでしょう。 競争相手は待ってくれませんから、東北の製造業の速やかな回復が望まれます。
復興には、農地や生産設備の復旧、運転資金のサポート、そして円高に対する取組などが先決です。 各産業が回復する前にTPPに参加することは、復興の大きな妨げになる心配がありますね。



農業や漁業も大きな影響を受けます。 輸入関税を撤廃することで、低価格の外国産の農林水産物の輸入が増え、国内の生産者が立ち行かなくなり、国産の農林水産物の生産量が激減すると考えられます。
カロリーベースで計算すると現在でも日本の食糧自給率は約40%。TPPに参加すると、それが13%に低下すると農林水産省は試算しています。つまり、国産の食べ物が減少し、私たちが必要とする量の87%を外国に頼ることになるのです。
また食糧の大半を輸入に依存すると、海外市場で価格が急騰したり品薄になった時に対応することが難しくなってしまいます。慌てて国内生産を復活しようとしても、何年もかかってしまうからね。高いものを買うしかないし、世界で食料不足が進む中、外国が売ってくれなくなり、食料不足になってしまうおそれもあるんだ。



TPPに参加すると、食品の安全検査方法など、食の安全にかかわるさまざまなルールの統一を迫られ、外国に合わせて日本のルールを緩和、撤廃することになるかもしれないそうです。 たとえばどういう事でしょう?
たとえば、食の安全の分野では、「ルールを統一する」という名目のもと、日本の厳しい残留農薬基準が国際基準(コーデックス基準)に合わせて引き下げられたり、日本では禁止されているポストハーベスト(収穫後使用)農薬の許可を求められたり、遺伝子組み換え食品の輸入が拡大したりすることなどが懸念されます。 日本の事情や消費者の意向に合わせて厳しい基準を設定しようとしても、基準が厳しすぎて貿易障壁になる、輸出できなかった分を損害賠償しろと迫られ、やむなく基準を緩和しなければならなくなることも考えられます。



TPP参加に反対する医療関係者も多いようです。 アメリカのように営利企業が医療に参入すると過度なコスト削減で医療の質が低下したり、採算の取れない地域や診療科目を見てくれる病院がなくなってしまう可能性があるそうです。
あと、医療費の高騰が心配だって。 どうしてですか?
私たちの診療の多くは公的医療保険が適用されますね。その診療報酬は政府が決めていますから、全国一律です。これに対して保険外の診療は医療機関が自分で料金を決めることができます。保険診療と保険外診療を併用することは今は制限されていますが、TPPに参加すると、この制限がなくなる恐れがあります。
そうなると、高額で利益率の高い保険外診療が拡大することで、公的医療保険の給付範囲の縮小を招き、医療費が高騰し、所得によって受けられる治療に格差が生じると考えられています。つまり、すべての人に高品質の医療を提供するという日本の公的医療保険制度そのものが脅かされる心配があるわけです。



公共事業は地元中小企業が受託することで、地方経済が潤っています。 しかし、TPPに参加すると公共事業に外国企業も参入してくるため、地元の中小企業は、海外企業との厳しい競争にさらされると聞きました。
でも前から海外企業も公共事業を受注できたと思うけど?
以前から政府や都道府県による物品やサービスの購入、施設建設などは海外企業でも受注できました。
しかし、TPPに参加すると今までよりも基準が緩和され、小規模の案件も開放されるうえ、今までは開放されていなかった市区町村の公共事業やサービスの入札にも海外企業が参加できるようになります。
この条件で、海外企業が賃金の安い外国人労働者を雇って入札した場合、地域経済を支えている地元企業が厳しい競争にさらされ、地域の日本人の雇用が減少してしまうおそれがあります。



日本のTPP参加で、飢餓に苦しむ人が増える可能性があるそうです。ある試算では、日本のTPP参加により、アジアだけでも2.7億人も飢餓人口が増えるとされています。
日本の人口よりも多いですね、どうしてですか?
まず日本の米輸入が拡大すると、アジアの需要がひっ迫し、米の価格高騰を招くと考えられています。その結果、コメを主食とするアジアの多くの人は米を買う事ができなくなり、飢餓に陥ることとなります。
また、日本へ輸出する食料を生産する耕作地を確保するため、東南アジアでは森林伐採が行われ、環境破壊が進むとも言われています。



TPPに参加しないと、自由貿易という世界の潮流から取り残されると心配する声があります。 ヨーロッパはEUという大きな経済圏を作ったし、「TPPは絶好のチャンスだ、これに乗り遅れると日本は取り残される!」という話もよく耳にします。
日本が取り残されていると見るのは大きな誤解ですね。 日本は、すでに13か国・地域とFTA・EPAを締結あるいは合意しているのです。 その交渉ではWTOの理念に従い、全ての産業分野において公平な利益が享受できることや、食品安全性、環境保全など国民の期待に応えることを念頭に、国ごとに異なる特定の重要品目に配慮しつつ、将来にわたって相互発展が可能な自由貿易を目指してきました。
締結・合意した相手国・地域には多くのアジア諸国が含まれ、成長を続けるアジアの中での日本のプレゼンスを高めています。



沖縄や石垣島をはじめとして、南西諸島の島々は、TPPにより甚大な影響を被るといわれています。サトウキビ農家や、サトウキビを原料に使う食品製造業は立ち行かなくなるかも知れません。肉用牛生産を続けるのも厳しそうです。
離島への打撃は大きいでしょう。農業だけでなく、関連産業も衰退します。島が魅力を失って観光客が減れば、島を離れる人が続いて急速に過疎化が進むかもしれません。
そうした島を守るために、海上保安庁や自衛隊などの配備を増やす必要があり、それには膨大な費用がかかります。
また、南西諸島には周囲に豊富な海底資源をもつ離島も多く、それらの資源の開発権を維持するためにも、離島の生活や経済を守る必要がありますね。



もっと詳しく韓米FTAについて知りたい方は、掘り下げオピニオンへ!
最近ソウルなどで数万人規模の韓米FTA反対デモが頻繁に起きていますね。 輸出拡大は韓国にとって重要なのにどうして?
韓米FTAに盛り込まれた韓国に不利なルール、特に「国や地方自治体が行う規制に対し、海外企業による損害賠償訴訟が認められる」というISD条項が問題になっているのです。 実例を紹介しましょう。 カナダで有害物質MMTのガソリン添加が禁止されたときのこと、それまでMMT添加ガソリンをカナダで販売していた米国企業が「規制で売れなくなった分を損害賠償するか、規制を撤廃しろ!」とISD条項を楯にカナダ政府を訴えたのです。裁判で負けたカナダ政府は規制を撤廃させられました。
アメリカのTPP交渉責任者も「TPPの内容については韓米FTAを参考に」と言っているし、協定にこのISD条項が入ってくる可能性は十分に考えられるのです。
