• ナナの発表:TPP参加で日本はどうなるか

    TPPに参加すると日本はどうなるのか、発表を始めます。どうやら、たくさんの分野に影響がありそうです。

    日本経済への影響

    日本の農業への影響

    食の安全への影響

    医療の質や医療費への影響

    世界の飢餓・食料不足を拡大

    安全保障・海底資源開発への影響

    日本の規制・制度への影響(ISD条項)

  • 日本経済への影響

    TPPにより期待される経済効果や心配される損失額について、いろいろな予測が公表されていますね。でも、試算の結果はずいぶん違います。ホントのところ、どうなんですか?

    安倍総理のTPP交渉参加表明後、甘利TPP担当大臣が政府統一試算を発表しました。
    試算では、TPPによって実質GDPが約3.2兆円増加する一方で、農林水産物の生産額は約3兆円減少するとしています。

    様々な分野の専門家で構成される「TPP参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会」の試算では、政府試算に基づいて農林水産物の生産額が約3兆円減ると仮定すると、関連する商業、製造業、運輸業などの生産額も約7兆円減少し、合計で約10兆円にのぼり、これらを考慮に入れると、GDPは約4.8兆円(1.0%)減少するとされています。

    農林水産業だけでなく、経済全体への 影響もマイナスとする試算もあるのね。

  • 日本の農業への影響

    TPPで日本の農業は大きな打撃を受けることは、多くの人の共通意見ですね。農業が影響をうけた場合、ほかにどのような波及効果が考えられますか?

    農業・農村は、食料生産の場としての働き以外に、様々な役割を果たしています。
    例えば、水田は雨水を一時的に貯め、洪水や土砂崩れを防いだり、地下水をつくる機能、景観を維持する機能を果たしています。これを農業の多面的機能といいます。

    TPPにより、農業が影響をうけることにより、この多面的機能も影響を受け、その損失額は、1〜6兆円にものぼると試算されてます。

    日本の農業は、防災や環境保全にも 貢献しているのね。

  • 食の安全への影響

    TPP交渉の中で、食品の安全と安心を守るためのルールや、規制、基準などの見直しを迫られる心配があると聞きました。

    TPP交渉国が共通のルール作りを検討する中で、各国の個別措置についての議論が行われる場合も考えられます。食品における遺伝子組み換え表示義務や、BSE対策についての米国のこれまでの要求を見ても、米国が更なる規制緩和を求めてくる可能性は十分にあります。

    これまでも、日本の残留農薬基準や収穫後農薬に対する規制に対して、外国から見直しを迫られたことがありました。実際に今年、BSE対策として設けた牛肉輸入規制や検査基準は、緩和されましたね。 日本で認められていない食品添加物の認可や、遺伝子組み換え表示義務の変更などとあわせて、TPPにより、これらの規制緩和圧力が一層高まることが懸念されます。

    食の安全を守るための規制や基準が 不十分になる可能性があるのね。

  • 医療の質や医療費への影響

    医療への影響も心配されています。どんな影響があるのでしょうか?

    日本の医療の大部分は国が値段を決め、自己負担は3割で済む「保険診療」です。しかし米国は、公的保険が使えない「自由診療」の拡大を狙い、日本に対し医療サービス市場の開放を要求してきました。
    自由診療が広がれば、高価な薬が国の価格統制を受けずに販売できますし、米国の医療保険会社にも大きなチャンスであるからです。

    しかし、自由診療が広がると、医療費や薬の価格が上昇し、富裕層の患者だけが優遇されかねません。医療サービス市場が自由化されて、営利目的の病院が増えると、儲からないという理由で、救急や産婦人科、小児科といった分野が切り捨てられる心配もあります。また、新薬の特許権強化を担うアメリカの要求により、ジェネリック後発医薬品の開発や供給に支障がでると懸念する声もあります。


    誰でも安価に医療を受けられる 今の制度が守れなくなるかも。

  • 世界の飢餓、環境破壊

    TPPで日本の農業生産が影響を受けても、輸入でカバーすればいいんじゃないの?

    国連によると世界人口は、現在の70億人から、2050年には約90億人に達する見込みです。また、人々の食生活の向上により、肉類、乳製品の消費が増大していることや、バイオ燃料の生産拡大等により、穀物需要は増加傾向にあります。一方で農地や水は限られており、食料生産の拡大が需要の増大に追いつけなくなりつつあります。食料が過剰な時代から不足する時代へと突入しようとしているのです。

    このような中、日本がさらに輸入を増加させると、経済力の劣る途上国の食料調達が滞ったり、食料価格の高騰を招く心配があります。日本の食料自給率の低下は、世界の飢餓や食料不足をさらに拡大させる可能性があるのです。

    自国で食料を増産することは、日本のためにも、世界のためにも大事なのね。

  • 安全保障・海底資源開発への影響

    沖縄や石垣島などの南西諸島では、サトウキビや肉牛が大切な産業です。TPPの影響は大きいのではないでしょうか。

    そうですね。例えば、沖縄県の農家の約7割がサトウキビ生産に従事し、離島ではその割合は8割を超えます。関税が撤廃されると、サトウキビなどの甘味資源作物は国内で生産されなくなり、肉用牛の生産も68%減少すると農林水産省は試算しています。

    その結果、国境地帯の離島では経済が崩壊し、一部は無人島化してしまうかもしれません。無人島が増えると、国土や領海、海底資源を守るために、自衛隊や海上保安庁の配備を増強しなければなりません。その費用は一兆円以上とする試算もあるんです。

    日本の安全保障にも関わる問題なのね。

  • 日本の規制・制度への影響(ISD条項)


    もっと詳しく米韓FTAについて知りたい方は、掘り下げオピニオンへ!

    国の規制や法制度が、外国企業・投資家からの訴えによって、撤廃させられたり、賠償金を払わされることがあるんですか?

    ISD(投資家対国家の紛争解決)条項に基づく係争ですね。ISD条項とは、企業が進出先の国の政策や規制などによって損害を被ったと判断した場合に、その国を訴えることができる制度です。 

    ISD条項は、日本が締結したFTA/EPAに盛り込まれたケースもありますよ。

    TPPの場合、それとは別物と考えるべきでしょう。TPPでは訴訟大国である米国などが相手。実際にISD条項に基づいて米国企業が他国を訴えた事例は多く、その多くで米国が勝訴しています。

    国民の安全を守るための規制・制度であっても、海外企業や投資家に不利益となっていると判断されると、訴えられて、裁判の結果、変更を迫られることになるかもしれません。

    国民の安全よりも、企業や投資家の利益が 優先されることにもなりかねないのね。